JLPTレッスンは需要があります。
生徒も集まりやすく、レッスンの進め方にもある程度パターンがあります。
ですが、試験が終わった時点でレッスンを辞めてしまう生徒が続くなら、それは残念ながら「JLPTのためだけ」のレッスンになっているサインです。
その後も続けてもらえるJLPTレッスンには、教科書の選び方、一般的な文法の教え方とは別のポイントがあります。
私の生徒には、N5・N4レベルから始めてN1に合格し、今もレッスンを続けてくれている方が何人もいます。
ここでは、私が10年以上の現場で実際に行っている考え方と進め方をまとめています。

- オンライン日本語教師歴10年以上、レッスン10,000回以上
- 上級中心(ビジネス・大学院入試・JLPT N1対策)
- 体験レッスン後の3か月継続率 90%以上
- 2年以上継続中の生徒 7割以上(最長8年)
- 2019年〜オンライン日本語教師向けの発信
売り込まなくても続けてもらえるレッスン。そのコンセプトと具体的な例を教材と講座にしています。
再現性のある考え方を学ぶ教材・講座
【最初のステップ】ヒアリングで要望、苦手分野を正確にとらえる

JLPT対策レッスンと一口に言っても、生徒の要望、受験までの期間、得意・苦手分野は本当にさまざまです。
そのため「このやり方が正解です」と言える万能な方法はありません。
いくつかのポイントとパターンを押さえれば、十分に応用はききます。
ここでは、私が実際のレッスンで行っている考え方と進め方をご紹介します。
生徒の要望は?
先ほどもお伝えした通り、「JLPTを受けたい」という一言の裏には、さまざまな背景があります。
- JLPTは通過点なのか、最終目的なのか
- 何が一番得意、苦手なのか(聴解、語彙、文法など)
- 生徒が成長できていないポイントはなんなのか
これらを丁寧に聞き取り、
どのようなレッスンを行えば、最短で実力を伸ばせるかを判断します。
チェック項目
最低限、以下の点は必ず確認します。
受験までの期間 数ヶ月? 半年? 一年?
どんな技能を向上させたい? 全体的に? 読解、聴解など苦手克服?
今のレベルは? 合格目標に近いか遠いか
以上をヒアリングしてプランを立てます。
とはいえ、オンラインレッスンでは最初に立てたプラン通りに進まないことの方が多いのが現実です。
そのため、実際の理解度や反応を見ながら柔軟に修正していく前提で考えます。
レッスンの進め方の基本
ここでは、よくあるケースをご紹介しますね。
試験まで1年ある、基礎知識がない
各レベルの基礎教科書(TRY!)
→まとめ+練習問題集(新完全マスター、総まとめシリーズ等)
→模擬問題集(形式に慣れるため、種類は問いません)
試験まで数ヶ月しかない、自分である程度勉強済みで知識がある
まとめ+練習問題集(新完全マスター、総まとめシリーズ等)
→模擬問題集
苦手分野克服
まとめ+練習問題集(新完全マスター、総まとめシリーズ等)
新完全マスター、総まとめシリーズは語彙、文法、読解、聴解などに分けられていますので、要望、状況により生徒の苦手分野にフォーカスしてレッスンを行うこともできます。
もちろん、実際にはこれ以外のパターンも多くあります。
ですが、どのケースでも共通して一番大切なのはヒアリングです。
状況を正確に把握し、生徒の要望とレベルに合ったレッスンを組み立てる。
ここができるかどうかで、レッスンの満足度も、継続率も大きく変わってきます。
JLPT対策でおすすめの教科書

JLPTでおすすめの教科書と使い方と進め方
ここでは、私が実際のオンラインレッスンで使用頻度の高い教材と、その使い方の考え方をご紹介します。
JLPT対策は、レベルが違っても基本の手順は同じです。
違うのは
使う教材の難易度
扱う内容の深さ
だけです。
実は大切なのはどの教材を使うかよりも「どの順番で、何を目的に使うか」です。
まずは TRY! シリーズ を使って、
文法・表現の全体像を整理します。
N5〜N1まで揃っていますが、N5については生徒の背景によっては必須ではないと感じています。
TRY! は
- 文法の全体像をつかみやすい
- 説明がシンプルで導入に使いやすい
という点で、どのレベルでも導入に使いやすい教材です。
10年ほどオンラインで日本語教えてきて使わない日はほぼない教材です。
次のステップでは、聴解・読解など分野別の力を伸ばしていきます。
N3、N4レベル私がよく使うのは 「日本語総まとめ」シリーズです。
レッスンの時間的な制約を考えると、レッスンでは 聴解・文法の練習問題を優先しています。
語彙・漢字は暗記要素が強いため、レッスン外での自習に回すことが多いです。また読解は読む時間がかかるので、宿題にしてわからない部分をレッスンで聞いてもらう方法を取ることが多いです。
N2・N1の場合
→ 新完全マスターシリーズ
N2・N1では、似ている文法や表現の違いをより深く、正確に理解する必要があります。
そのため、
TRY! で全体像
→ 新完全マスターで整理・定着
という流れが最も安定します。
特にN1は、日本語教師側が「なぜその表現になるのか」を言語化できる準備が不可欠です。
語彙は基本的に「覚える作業」なので、レッスンではなく自習向きです。
そのため、生徒には「新日本語500問」 などの問題集を使って
自分のペースで進めてもらっています。
最後に模擬問題を解き、試験の流れ・時間配分・問題傾向を確認します。
自分で進められる生徒 → 宿題
一人では進みにくい生徒 → レッスンで一緒に
と、生徒のタイプによって使い分けています。
教材は変わっても、進め方の軸は同じ
まとめると、
どのレベルも流れは同じ
N2・N1は「総まとめ」ではなく「新完全マスター」に切り替えるだけ
です。
あくまでも私の使っている教材をご紹介しましたが、ご自身が使いやすいものを使えばいいと思います。教材の方向性として
全体像を掴む→詳細を把握する
このプロセスが行える教材が良いと思います。
重要なのは教材そのものよりも、
どこをレッスンで優先するか
どこを自習に回すか
どう生徒に合わせて説明、修正するか
という判断です。
この「判断の部分」ができるようになると、教材選びに振り回されなくなりレッスンの再現性も高くなります。
JLPTレッスンの下準備
【実例】あらかじめやっておくと便利なこと
JLPTのレッスンは需要が高いため、多くの生徒が受講します。それぞれの文法で自分が説明しやすいようなメモをまとめておくと良いと思います。
実際に私が作ったノートを一部ご紹介します。
ノートの例

ポイントは、とにかくシンプルにまとめておくことです。
手持ちの教材でも、自分のノートでもかまいません。
なぜシンプルにするのかというと、実際のレッスンでは、これを元に生徒に合わせて例文を作り、説明を組み立てるからです。
細かいスクリプトを作ってしまうと、その通りに話すことが目的になってしまい、目の前の生徒に合わせる余裕がなくなります。
特にN2、N1になると、大きくは同じ意味でも、丁寧さやかたさの違い、ほんの少しのニュアンスの違いを言語化するのが難しい文法が多くあります。
ここをわかりやすく伝えられるかどうかは、生徒の理解度、それから満足度に大きく関わっています。
ですが、この「わかりやすさ」は、教科書を読んだり、準備をしたりするだけでは身につきません。
同じ説明でも、ある生徒にはすぐ伝わり、別の生徒には伝わらないことがあります。
どこで表情が変わったか、どんな間違いをしたか。そうした生徒の反応や失敗を通して、少しずつ精度が上がっていきます。
つまり、準備でできるのは土台までで、「わかりやすさ」が本当に生まれるのは、生徒とのやりとりの中なんです。
「初めてこの文法を説明する」というときは、シンプルに整理したうえで、生徒に聞かれそうな質問を想定しておきましょう。
そして、実際の反応を見ながら説明を調整していく。
この繰り返しが、長く続けてもらえるレッスンにつながります。

状況別 JLPT対策レッスン進め方
JLPTまで時間がない、レッスンできる回数が限られている
時間に限りがありますので、全てはできませんよね。
TRY!など、多くの教科書には文法に重要度が載っている場合が多いです。
重要度の高い部分に絞ってレッスンを行います。
また、生徒が何を必要としているのか、どの部分が弱いかをヒアリングやレッスンから把握し、優先順位をつけ苦手を克服するようなレッスンをしていく必要があります。
分野別 JLPTレッスン方法

毎回達成感を感じられるように
これはJLPTレッスンだけではなく、全てのオンライン日本語レッスンに言えることなのですが、日本語学校とは違い継続するしないは生徒の満足度にかかっています。
リピートしてもらうには毎回満足してもらえるようなレッスンを提供する必要があります。
例えば、この日は説明だけ、問題だけのような方法ではなく、一回の授業で説明→問題演習→復習 のような完結したものにして、生徒に「これができるようになった!」と実感して成長を感じてもらえるようにします。
ただし、この配分も生徒によって「やりすぎ」「足りない」が変わりますので一番大切なのは生徒を観察し調整することになります。

では、次に読解、聴解など個別の分野のレッスン方法をご紹介していきますね!
読解
自分で進められる生徒
宿題として生徒自身で答え合わせまでやっておいてもらい、わからない部分のみレッスンで解説します。一番効率的な方法です。
自分で進めるのが難しい生徒
とにかく読解が苦手でなかなか手が付けられない、という生徒もいますよね。
そんな場合は授業中、問題を解く時間を数分とって回答してもらいます。
問題を音読してもらうかは生徒の希望によってどちらでも良いと思います。
私の場合は基本的にN3以下に関しては音読してもらっています。
N2,N1になるとかなり長い文が出てきますので、声を出して読むだけで疲れてしまわないよう黙読してもらうことが多いです。
解説は画面共有で問題を表示し、接続詞や関連する文を繋いだりしながら視覚的にわかりやすく解説していきます。詳しくは以下の記事に実例がありますのでぜひご覧くださいね。
N1、N2の読解は「新完全マスター」がお勧めです。
聴解
聴解問題を苦手とする生徒は多いです。聴解に自信がある、という生徒もいますが、試験形式に慣れるためにも一通り一緒に授業で練習することをお勧めします。
聴解問題を解くだけではなく、対策法も教えると効果的です。
例えばよく聞かれること(会社が場面の場合→次に何をするか等)や、数字が出てきたらメモをするなどです。
わからなかった部分は、すぐに答えを教えずに、何度か問題を聞いてもらい、ヒントを出しながら答えを導き出します。
長い話の場合、問題の全ての文言を理解する必要はないので、全体的にどんな話だったかを聞き取るように伝えます。
どうしてもわからない場合はスクリプトを見て確認してもらいましょう。
文法
総合的な教科書で学んだ後、まだ文法が心配だ、という生徒とは文法の問題集を行うと良いです。授業では特に似ている文法の比較、違いを中心に解説し、整理します。
語彙、漢字
生徒からの希望がない限り、自主学習でOKだと思います。宿題で範囲を指定して覚えてもらって授業の初めにテストするのも効果的です。
まとめ
✔︎生徒の要望、苦手分野を把握する
✔︎試験までの日数や、生徒の要望に合わせ優先順位を決めて効率的なレッスンをする
✔︎毎回達成感のあるレッスンにする
JLPTレッスンの進め方は、ある程度パターンが見えてきます。ただ、継続されるかどうかは別の話です。
毎回のレッスンで何を意識するか、生徒との信頼をどう積み上げるか——そこを整理したい方に向けて、講座を再開します。
リピートされるJLPTレッスン講座
ここまで読んでくださった方は、JLPT対策を「合格させて終わり」にしたくない方だと思います。
合格はゴールではありません。
冒頭でお話しした生徒たちのように、合格した後もレッスンは続いていきます。
その先も選ばれ続けるレッスンをどう組み立てるか、そこを体系的に整理したのが「リピートされるJLPTレッスン講座」です。
扱うのは、文法の細かい知識ではありません。
生徒とのやりとりの中で「わかりやすさ」をどう育てていくか。準備した説明を、目の前の生徒に合わせてどう組み立て直すか、です。
スライド解説30〜35分+質疑応答
JLPTレッスンをすでに行っていて、継続率や進め方をもう一段整理したい方向けです。
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