ビジネス日本語レッスンをやってみたいけれど、

具体的に何をすればいいのかわからない



生徒の日本語レベルや職種がバラバラで、毎回迷う



自分はビジネス経験が十分と言えるのか不安
このような相談を、これまで何度も受けてきました。
ビジネス日本語レッスンは需要が高い一方で、「難しそう」「責任が重そう」と感じて手を出せない日本語教師が多い分野でもあります。
ですが実際にやってみると、難しいのはビジネス表現を知っているかどうかだけではありません。
生徒の細かいニーズや性格、実際の仕事の場面にどれだけ合わせられるかが重要になります。
私はこれまで数千回ビジネス日本語レッスンを行ってきました。
また今行っているレッスンのほとんどがビジネス日本語です。
もちろん最初から迷わずレッスンを進められたわけではありません。
- この生徒は教科書でいいのか
- ロールプレイを入れるべきか
- 今日は直すべきか、流すべきか
毎回、生徒のニーズを満たすため微調整してきました。
こうすればいい、という明確な答えは残念ながらありません。
生徒によって要望も条件も全く違うからです。
この記事では、「こうすればOK」という答えではなく、ビジネス日本語レッスンで必ず必要になる共通する視点を整理してお伝えしますね。


オンライン日本語教師として10年以上、10,000回以上のレッスンを重ねてきました。2012年に日本語教育能力検定試験に合格。ヨーロッパからアジアまで多国籍の生徒を担当し、主に上級・超上級の日本語レッスンを専門としています。
最長の生徒さんとは7年以上、ほとんどの生徒が2年以上継続してくださっています。
2019年、オンライン日本語教師向けの情報発信を始めました。当時、この分野に特化した発信はほぼ存在していませんでした。
サポートした教師の中には、月収80万円を達成した方もいます。月3,000USD以上の収入を得ている方も少なくありません。共通しているのは、自分で考え、丁寧に実践し続けた方だということです。
ノウハウを売るためではなく、現場で積み重ねてきた経験から話しています。
ビジネス日本語は需要が安定しやすい
ビジネス日本語レッスンは、目的が比較的はっきりしています。
たとえば、会議で発言できるようになりたい、面接に備えたい、日本人の同僚や取引先ともっと自然にやり取りしたい、仕事で使うメールや説明を改善したいなど、生徒自身が「何のために学ぶのか」を自覚していることが多いです。
そのため、レッスンの必要性を感じてもらいやすく、長期的な受講にもつながりやすい傾向があります。
また、ビジネス日本語を学ぶ生徒は、上級レベルの方が多くなります。
一つの目標を達成したあとも、日本語力を維持したい、より自然で正確に話せるようになりたい、社会情勢や仕事に関する知的な会話を日本語でしたい、というニーズが残ることも少なくありません。
つまり、ビジネス日本語レッスンは、単発で終わるレッスンというより、信頼関係を築きながら長く続いていく可能性がある分野です。
需要があるからといって、誰でも簡単に教えられるレッスンではない
ビジネス日本語では、敬語やメール表現を教えるだけでなく、生徒の仕事の内容、相手との関係性、場面ごとの言い方の違いを見ながら、レッスンを調整する力が求められます。
さらに、上級者やビジネスパーソンを相手にする場合、世界のニュース、社会情勢、働き方、企業文化など、生徒が関心を持ちやすいトピックについても、ある程度会話できることが望ましいです。
ビジネス日本語レッスンは、表現を教えるだけのレッスンではありません。
生徒の仕事の現実に合わせて、日本語をどう使えばよいかを一緒に整理していくレッスンです。
どんな日本語教師がビジネス日本語を教えられる?
ビジネス日本語レッスンは、誰でも気軽に始められるレッスンというより、ある程度の日本語指導力と説明力が必要になる分野です。
もちろん、会社員経験やビジネスの現場経験があるに越したことはありません。
実際の職場でどのようなやり取りが行われるのか、どのような言い方が自然なのかを知っていることは、大きな強みになります。
ただし、ビジネス経験があれば必ず教えられるというわけでもありません。
ビジネス日本語レッスンでは、敬語表現やメール表現を知っているだけでなく、細かいニュアンスの違いを言語化して説明する力が必要です。
たとえば、似ている表現の違い、相手との関係性による言い方の違い、強く聞こえる表現とやわらかく聞こえる表現の違いなどを、生徒が納得できる形で説明できる必要があります。
そのため、目安としては、基礎文法だけでなく、N1レベルの語彙・文法まである程度説明できることが望ましいです。
特に、N1レベル以上の表現を教えるときに、似ている表現との違いや、実際に使える場面・使いにくい場面を説明できるかどうかは、一つの基準になります。
将来的にビジネス日本語を教えたい場合は、まずは初級から上級までの基礎文法を一通り理解し、説明できる状態を目指すことが大切です。
生徒の立場になって考えると、ビジネス表現を習いたいとき、初級レベルしか教えられない先生から学びたいとは思わないはずです。
ビジネス日本語を教えるということは、生徒の仕事の場面に関わるということです。
だからこそ、教える側にも一定以上の日本語力・説明力・判断力が求められます。
ビジネス日本語レッスンはどのレベルの生徒に提供できる?
一般的には、ビジネス日本語レッスンは N2以上 が目安になります。
会議、メール、商談などの場面では、曖昧さ、言い換え、前提説明が多く、中級レベルでは対応が難しいことがほとんどです。
ですが、中級レベルの生徒が「ビジネス日本語をやりたい」と言うケースもあります。
その場合は、いきなりビジネスに入るのか、日本語の基礎を優先するのかという判断が必要になります。
たとえば、基礎文法を固めながら、同時に少しずつ「お疲れ様です」「失礼いたします」といった ごく基本的なビジネス表現を少しずつ混ぜるという設計も一つの方法です。
ここでも大切なのは、レベルではなく、生徒の目的に対して何が必要かです。
ビジネス日本語レッスンで大切なこと


ビジネス日本語レッスンで重要なのは次の3点です。
- 何をゴールにするのか
- ゴールまでに、足りないものを明確にする
- 何をレッスンで実践するのか
これが決まらないまま進めると、レッスンは「ビジネス日本語レッスンっぽいけど、成果が見えにくい」状態になりがちです。
学習者の目的を明確にする
ビジネス日本語レッスンでは、ヒアリングがほぼすべてと言っても過言ではありません。
- これから日本で働きたい人
- すでに日本人と仕事をしている人
- 面接対策が目的の人
同じ「ビジネス日本語」でも、やるべき内容はまったく違います。
まずは、どんな場面で困っているのか、何ができるようになればOKなのかを丁寧に確認します。
目標達成までの道のりを説明、共有する
目的が見えたら、次は「どういう順番で進めるか」を共有します。
たとえば、「商品説明はできるけれど、質問に詰まる」という生徒の場合、
- よく聞かれる質問を想定する
- ロールプレイで答える練習をする
こうしたシンプルな流れを繰り返します。
大切なのは、生徒自身が「今、何の練習をしているのか」を理解していることです。
実践的な教材をどう使うか


ビジネス日本語レッスンでは、教材は目的に合わせて選びます。
例えば
- 初めて学ぶ生徒 → 教科書
- すでに仕事で使っている生徒 → 実際の資料やメール、実例からの疑問点解決
などはよくあるパターンです。
- 業界が特殊
- 内容が専門的
- 日本語レベルがすでに高い
このような場合、教科書だけでは対応しきれないことが多くなります。
やはり相対的で柔軟な判断が必要なポイントです。
ロールプレイを取り入れる
ビジネス日本語では、ロールプレイは非常に有効です。
- 商品説明
- 面接
- 社内説明
ただし、ロールプレイをやること自体が目的にならないよう注意します。
ロールプレイ中は極力止めず、終わったあとにまとめてフィードバックを行います。
ビジネスマナーや企業文化についても触れる
日本のビジネスでは、空気を読む、言い切らない、曖昧に調整するといった文化的要素が重要になります。とはいえ、「日本ではこうしなければならない」と押し付ける必要はありません。
あくまで、
- 日本ではこう受け取られやすい
- こう感じる人が多い
という情報として伝えることが大切です。


おすすめの教科書
ビジネス日本語のおすすめの教科書をまとめておきます。
N1以上レベルの生徒におすすめ
私が一番におすすめする教科書はこちら
『ロールプレイで学ぶビジネス日本語 グローバル企業でのキャリア構築をめざして』です。
上級レベル(N1以上)でビジネス日本語を学んだことのない方にぴったりです。
こちらの教科書のいいところは、とにかくロールプレイや生徒が文を作る練習がたくさんあるところです。
頭では理解していてもやってみたらできないということはよくあります。それがビジネスの場だったら大変です。この教科書を使ってそれを克服できます。
N2レベルの生徒におすすめ
中級レベルの方はこちら
中級レベル ロールプレイで学ぶビジネス日本語―就活から入社まで―
こちらは就職活動、インターンシップ、面接、そして基本的な仕事で使う表現などが学べます。
N2レベルの人や日本で就職したい方におすすめです。
N3レベルの生徒におすすめ
N3レベルの生徒には、こちらのような入門的なビジネス日本語教材を併用する方法もあります。
とはいえ、このレベルだとまだまだ文法能力、語彙力等基礎の能力が足りていませんのでまずはビジネスではなく日本語の基礎を固めることを優先させた方が賢明です。
「げんき」「みんなの日本語」やJLPTの教科書など通常の教科書と併用して利用することをおすすめします。
ビジネスメール
メールの教科書のおすすめはこちら。
ビジネス文書の作成は高いレベルの文法、語彙力が求められますのでこちらの教科書はN1レベル以上の生徒におすすめです。
タスクで学ぶ日本語ビジネスメール・ビジネス文書―適切にメッセージを伝える力の養成をめざして
まとめ
ビジネス日本語レッスンは、「やり方」を覚えればうまくいくものではありません。
生徒ごとに目的が違う、毎回、判断が必要になるからこそ、
- 自分の進め方は合っているのか
- この生徒には何を優先すべきか
と悩むのは当然なことです。
この記事でお伝えしたのは、共通する考え方の全体像 です。
実際のレッスンでは、レッスンで何を具体的に行うのか、生徒の本当のニーズはなんなのかといった判断が必要になります。
もし、ビジネス日本語レッスンをやってみて
- ビジネス日本語レッスンの設計で迷っている
- 生徒のケースごとに整理したい
- 今のやり方が合っているか確認したい
と感じているなら、ビジネス日本語個別相談も承っていますので、よろしければご利用ください。
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内容:生徒のケースをもとにレッスン設計を整理、教科書・ロールプレイの使い分け相談、今行っているレッスンの見直しなど












