オンライン日本語教師の世界で、「AIで仕事がなくなるのでは?」という声を目にすることがあります。
AIが急速に進化し、今ではコンサルや教材作成、レッスン案の作成まで、AIが当たり前に使われるようになりました。
確かに、ノウハウや方法論という意味では、AIはとても優秀です。
「こうすればいい」「この順番でやればいい」「よくあるケースではこう」という一般論は、AIや中堅の発信者から十分に学べる時代になりました。
しかし、AIの時代にオンライン日本語教師として長くレッスンを続けられるかどうかは、ノウハウの量ではなく、判断軸と設計力にかかっています。
この記事はその本質を整理し、AI時代に実際のレッスンで価値を生み続ける考え方と具体的な使い方を解説します。

運営者 BONA
オンライン日本語教師として10年以上。
レッスン数は10,000回以上。
生徒のリピート率は90%以上。
長期継続の生徒が多く、
2年以上続けてくださる方が過半数です。5年以上の生徒さんも多数
また、オンライン日本語教師の育成にも携わり、
月収30万円〜80万円を達成した卒業生も数多くいます。
- 日本語教師歴:15年
- 日本語教育能力検定試験 合格
- オンライン日本語教師:10年以上
- リピート率:90%以上
- オンライン日本語教師サポート歴5年以上
感情を煽るようなポジティブなだけの情報ではなく、
現場で積み重ねてきた実践知と、再現性のある本質的な知識をお伝えしています。
AIは便利、でも価値ではない
AIは確かに便利です。
ところが、AIには本質的にできないことがあります。それが 一次情報を持つこと です。
私はオンライン日本語教師として10年以上、実際にレッスンを続けてきました。
その中で、「うまくいったレッスン」「関係が途切れなかった生徒」「伸び悩んだときに何が起こったか」
こういった一次情報を自分の血肉として持っています。
AIは大量の情報を学習していますが、自分自身の経験・成功・失敗・生徒と向き合ったリアルな現場感 は出せません。
だからこそ、AIを使うべきは 素材の生成や作業の補助であり、価値を成立させる判断や設計は教師が担うべき役割 です。
AIに任せられる仕事
AIは「作業」を担わせると非常に効率的です。
ただし、それはあくまで素材やアイデアを提示する段階まで。「判断」は教師の仕事として残ります。
①フリートークのトピックや発話の種の生成
AIに対して、例えば以下のように指示します。
あなたは日本語教師です。上級フリートークで使えるトピックを、学習者の興味(AI・アニメ・スイーツ)に合わせて提示してください。
AIに「環境問題について意見を深めるための質問案を5つ出して」と依頼。
AIは瞬時に複数のアイデアを出してくれます。
しかし、どのトピックを選び、どのタイミングで出すか はあなたの判断です。
これが、生徒の背景に合ったレッスン設計になります。
② 会話を深める質問の生成
フリートークを深めるための質問も、AIは得意です。
たとえば、
「環境問題について意見を深めるための質問案を5つ出して」
と依頼すれば、すぐに候補が出ます。
ただし、重要なのは「質問を作ること」ではなく、
そこから どの質問を入れるか・どの順番で進めるか という意図設計です。
③ 例文・問題・宿題の生成
文法項目や表現での例文や練習問題をAIに作らせることもできます。
ここは手間を大きく減らせますが、AIが出す文は100%自然とは限らないので、教師の視点でチェックすることが不可欠です。
AIの出力をそのまま使うのではなく、必ず確認して、必要ならアレンジすることが大事です。

④ 翻訳・多言語プロフィール
生徒とのコミュニケーションやプロフィールの多言語化もAIが得意です。
英語・中国語などでの翻訳もスピーディにできます。
ただし、表現のニュアンスや文化的な適切さの確認は、人間が行う必要があります。
ここは難しい部分で、つまりニュアンスを理解するためには、その言語をある程度理解している必要があります。
教師にしかできない仕事
AIがどれだけ進歩しても、以下の領域は教師自身の判断が不可欠です。
判断:どの素材を使うべきか
AIが出す素材は可能性として考えます。
その可能性を選ぶか捨てるか、どの生徒に使うか を決めるのは教師の仕事です。
例
- 生徒Aにはこの質問を使うべきか
- 生徒Bにはこのテーマは早すぎるか
- 表現はどこまで広げるべきか
これらは経験や文脈理解が関わらないと決められません。
レッスンの全体設計は教師が行う
AIは各パーツを出せますが、レッスン全体を組み立てる力 は出せません。
たとえば
- 初回トライアルで何を聞き、何を提示するか
- 継続レッスンでどこにゴールを置くか
- 会話をどのステップで深めるか
これはAIには設計できません。
生徒から詳細なヒアリングをし、コミュニケーションをしたあなたの判断軸があって初めて成立します。

生徒の条件を複合的に見抜く力
生徒は一つの条件で語れる存在ではありません。
- 日本語レベル
- 目的
- 生活背景
- 性格
- 使うシーン
これらを掛け合わせて見抜き、レッスンの深さや進め方を変える判断はAIでは困難です。
AIを使うときの注意点(陥りがちな罠)
AIは優秀ですが、注意しなければいけない部分があります。
① 良い例だけを鵜呑みにしない
AIが出す例文や解説は「正解っぽい形」です。
しかし、必ずしも「自然な日本語」や「文脈に合う表現」とは限りません。
教師が最終チェックと調整をすることが必要です。
② AIの説明は正確でない場合がある
文法の説明や用法の違いは、AIの回答があいまいだったり、
あるいは誤った導入になったりすることがあります。
必ず教師が「なぜそうなのか」を説明できる必要があります。
③ 生徒の頭をAIに委ねさせない
AIは便利ですが、AIの出力をそのまま生徒に渡して終わり、という使い方は価値が下がります。
あなたの視点・フィードバック・判断を付加価値として重ねてください。
単純なノウハウは安心をくれるけれど、生徒は複雑で対応しきれない
一般的なノウハウは、役に立ちますし不安なときの支えにもなります。
ただ、ノウハウだけに頼ったレッスンは、積み上がりにくいんです。
その場では悪くないし、会話も成立していて、そして生徒も満足しているように見えます。
それでも、気づくとリピートされず、1年も生徒が続けてくれない。
反対に本当に良いレッスンを提供し、派手な成果を出さなくても、自然と1年以上続く人もいます。
文法・語彙中心のレッスンは、AIが強い領域
もし今、レッスンの中心が「日本語文法」「語彙」「あいさつ」といった内容に偏っているとしたら、一度立ち止まって考える必要があります。
これらはもうすでに、現実としてAIがかなり高い精度で対応できる領域です。
文法の説明、単語の意味や使い分け、正確さという点では、AIのほうが安定している場面も少なくありません。
だからこそ、立ち位置を考える必要があります。
ただ、「どこで価値を出しているのか」を明確にしないまま続けるのは、難しくなってきています。
今、必要なのは日本語を教えることそのものだけではなく、誰に、どんな条件で、どんなレッスンを提供しているのかを自分で理解することです。
生徒は「条件の集合体」
長く続くレッスンに欠かせない視点があります。
それは、生徒を一面で見ないこと。
生徒にはそれぞれ、
- 日本語レベル
- 目的
- 仕事や生活背景
- 性格
- 使う場面
といった条件があります。
どれか一つだけを見て判断すると、レッスンはズレていきます。
大切なのは、条件の組み合わせを見ること。この複合的な見方は、多くのケースを通過しないとなかなか身につきません。
自己分析と生徒に合わせた会話設計
そのためには、自己分析が欠かせません。
まず自分はどんな生徒と会話が噛み合うのか、どんな話題、どんな深さが得意なのか、どんな条件の生徒に価値を出せているのかをまずはしっかりと自分で認識すること。
そしてもう一つ、生徒側の条件を複合的に見る視点。
日本語レベルだけでなく、目的、背景、性格、使う場面。
それらに合わせて会話の設計を変える力が、これからのレッスンにはより強く求められます。
AIの時代に生き残るということ
AIの時代に生き残るオンライン日本語教師とは、AIと競う人ではありません。
ノウハウを量産する人でもありません。
自分のレッスンを設計し、関係性を積み上げ精度を上げ続けられる人。
「そもそも自分は、どこで価値を出しているのだろう」と感じた方もいるかもしれません。
その問いを曖昧なままにしていると、軸ができずレッスンはどうしても不安定になります。
私自身、長く続けるために一番時間をかけてきたのは、ノウハウを増やすことではなく、
自分の立ち位置を言語化し、一人一人の生徒の要望に合うレッスンスタイルを見つけるための考え方を理解することでした。
そのために使ってきた考え方や視点を、自己分析教材としてまとめています。

AIは便利ですが、レッスンを続けさせてくれるのはAIではありません。
生徒が「この先生にお願いしたい」と思う理由は、人間の判断と設計で作られます。


