新人日本語教師 ゆりかさん日本語上級者のレッスンって、
何をしたらいいのかわからない。
フリートークだけでは物足りない気がする。
でも、文法や教科書を使う感じでもない。
こんなこよく他の日本語教師の方々から相談されます。
上級者向けのレッスンというと、
面接対策
ビジネス日本語
プレゼン練習
文章添削
専門分野の説明
など、いろいろな種類があるように見えます。
ですが、土台はかなり共通しています。
それは、その人の考えや知識を、相手に伝わる形で整理して話せるようにすることです。
つまり、上級者レッスンの基本はフリートークです。
ですが、何となく話す雑談ではありません。
その人の目的に合わせて設計された、意味のあるフリートークです。
上級者は、もう自分で文法を勉強できます。
語彙も、自分で増やしていけます。
では、私たち日本語教師に求められているのは何でしょうか。
私は、上級者に必要なのは「知的に表現できる場」だと思っています。
仕事でも、研究でも、面接でも、上級者が求めているのは、単に日本語を増やすことではありません。
自分の中にある知識、経験、考えを、日本語でより適切に、自然に、伝わる形で表現したいのです。
そのために必要なのが、意味のあるフリートークです。



この記事では、私が実際に行っている上級者向けレッスンをもとに、フリートークをどう設計すれば、面接やビジネス日本語にもつながるのかを整理してご紹介します。


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日本語上級者レッスンが難しい理由
初級者・中級者のレッスンでは、文法や語彙を増やす、会話に慣れる、日本語そのものを身につける、という目的が比較的はっきりしています。
ですが、上級者になると話が変わります。
上級者にとって、日本語はすでに「学ぶもの」であると同時に、「使う道具」でもあります。
つまり、上級者レッスンでは「何を教えるか」よりも「その人が日本語で何をしたいのか」の方が重要になります。
仕事で自然に話したい人もいれば、研究内容をわかりやすく説明したい人もいます。
大学院の面接に備えたい人もいれば、会議やプレゼンで違和感なく話したい人もいます。
目的が違えば、必要な語彙も、話し方も、レッスンの組み立ても変わります。
上級者レッスンでは「この教材をやればOK」という共通解はありません。
ここが、上級者レッスンが難しく感じられる一番の理由です。
上級者レッスンの基本は「意味のあるフリートーク」
上級者向けのフリートークというと、好きな話題で自由に話す時間、というイメージを持つ方も多いと思います。
ですが、実は上級者に必要なのは、ただ話す時間ではありません。
話しながら、自分の表現を磨ける時間です。
たとえば、
どの言い方がより自然か
どこが少し強く聞こえるか
どうすれば相手に伝わりやすくなるか
専門的な内容をどう整理して話せばいいか
自分の考えをどう組み立てれば知的に見えるか
こういったことを、その人に合ったテーマで扱えるフリートークには意味があります。
上級者向けのフリートークは、雑談ではありません。
知性と日本語表現を結びつけるためのレッスンです。
これができないと、話は盛り上がっても、レッスンとしての手応えが弱くなります。
生徒も「楽しかった」で終わってしまい、継続につながりにくくなります。
逆に、意味のあるフリートークを設計できるようになると、上級者レッスンはかなり安定します。
そして、この土台があると、面接対策にも、ビジネス日本語にも、文章添削にも応用しやすくなります。
上級者レッスンを作る時に大切な3つのこと
面接・ビジネス日本語も、土台は同じ
上級者向けのレッスンというと、面接対策は特別、ビジネス日本語は別物、と思われがちです。
ですが実際には、見ているポイントはそこまでバラバラではありません。
どのレッスンでも大事なのは、
何を伝えたいのか
その内容が相手にどう届いているか
どこに違和感があるか
どうすればもっと自然に、わかりやすくなるか
ということです。
つまり、面接でも、ビジネス日本語でも、上級者向けのレッスンの基本はフリートークにあります。
もちろん、ただ自由に話せばいいわけではありません。
目的に合わせてテーマを選び、問いかけを調整し、フィードバックを入れる必要があります。
ですが、この知識を運用できるようになると、レッスンの幅はかなり広がります。
上級者レッスンを考える時、大切なのは次の3点です。
1. 目的をヒアリングして、ゴールを決める
上級者レッスンは、最初のヒアリングが重要です。
その人は、何のために日本語を使いたい?
仕事?進学?研究?
どんな場面で困っている?
何ができるようになりたい?
まずは具体的な目的をはっきりさせること。
そうすると、毎回のレッスンで何を見るべきかが見えてきます。
上級者は話せるからこそ、こちらも何となく合わせてしまいがちです。
ですが、話せることと、目的に合った日本語が使えることは別です。
だから最初に、ゴールを言葉にしておくことが大切です。
2. 「説明できる力」を土台にする
上級者向けのレッスンは、一見するといろいろな種類がありますが、土台にあるのはかなり共通しています。
それは、自分の考えや知識を、相手に伝わる形に整理して話す力です。
ただ話せる、ではなく、主題を明確にし、相手が理解しやすい順番で話すこと、そして必要な言葉を選び、違和感の少ない表現や発音で伝えられること。
この力があると、場面が変わっても応用できます。
ですので私は、上級者レッスンではこの「説明できる力」をかなり重視しています。
3. ケースごとに見方を変える
上級者レッスンでは、全員に同じ型を当てはめることはできません。
面接をしたい人と、仕事で会議をする人と、研究発表をしたい人では、求められていることが違うからです。
ですが、全部をゼロから考える必要はありません。
土台はフリートークの設計です。
そこから、目的に合わせて見方を変えていく。
この感覚があると、上級者向けレッスンはかなり作りやすくなります。
ここからは、実際のケースをもとに、どのように応用しているのかをご紹介します。
ケース別:意味のあるフリートークをどう応用するか


論理的に話すレッスン(面接・入試準備)
上級者の生徒からよく出る悩みの一つが、
「考えはあるのに、必要な場面になるとうまく話せない」
というものです。
これは、日本語力そのものの問題というより、考えをどう整理して、どう順番立てて話すかの問題であることが多いです。
このタイプのレッスンでは、いきなり話してもらうことはあまりしません。
まずは、
何を一番伝えたいのか
その理由は何か
具体例はどこに入れるのか
結論が相手に伝わっているか
こういった話の枠を一緒に整理します。
そして実際に話してもらい、「私はこう理解しました」「ここが少し分かりにくかったです」という形でフィードバックをします。
生徒が伝えたかったことと、こちらの受け取りが一致していれば、伝わる話し方ができているということです。
これは面接対策ですが、やっていることの土台はやはりフリートークです。
ただし、何となく話すのではなく、伝わるように組み立てて話す練習です。
実例:MBA入学準備の生徒
Dさんは、日本のMBAに進学するため、面接と書類対策を目的にレッスンを受けていました。
このケースで重視したのは、正しい日本語を書くこと、話すことだけではありません。
「なぜそう考えたのか」を筋道立てて説明できるかどうかです。
レッスンでは、志望理由や研究計画をどう整理して話すか、面接でよく聞かれる質問にどう順序立てて答えるか、そういった部分を中心に確認していきました。
その結果、
- 考えを論理的に組み立てて話せるようになる
- 想定外の質問にも慌てず対応できる
- 日本語表現の不自然さに自分で気づける
という変化が出てきました。
このように、面接対策も特別な別ジャンルではなく、意味のあるフリートークを面接の場面に合わせて設計したものだと考えると、かなり整理しやすくなります。
ロールプレイ・プレゼン練習(ビジネス日本語)
実際に仕事で日本語を使っている生徒の場合、知識を教えるよりも、使う場面を再現することを重視します。
たとえば、会議での発言、社内説明、取引先とのやりとり、プレゼンなどです。
この場合、私は日本語教師というより、「その場の相手」に近い立場で話を聞きます。
そして、
どこが分かりにくかったか
どこで違和感があったか
どう言えばもっと自然か
どこを短くした方が伝わるか
を、そのまま伝えます。
これは日本語を教えるというより、伝わる日本語に整理する作業です。
ここでも土台は同じで、相手に合わせて話を組み立て、必要な言い方を選ぶ日、伝わる形に整える。
ビジネス日本語も、結局はフリートークの設計力がかなり関わっています。
書く力・文章添削
上級者ほど、書くときに差が出ます。
会話では流暢でも、文章になると急に不自然になる生徒はとても多いです。
意味は合っていても、日本人から見ると強すぎたり、硬すぎたり、冷たく感じられたりすることがあります。
この場合のレッスンでは、どこが不自然かを直すことだけを目的にはしません。
なぜ不自然に感じるのか。
なぜこの表現だと印象が変わるのか。
同じ内容でも、どう言えばより自然で知的に見えるのか。
そこを一緒に整理することを大切にしています。
これは書くレッスンですが、根本で見ていることは同じです。
そう考えると、添削もフリートークと切り離されたものではありません。
専門知識の説明をするレッスン
研究者や技術職の生徒の場合、知識そのものではなく、説明する力を見ます。
この時、教師が専門家である必要はありません。
むしろ、「日本語は分かるが、その分野の内容は知らない人」として話を聞くことに意味があります。
そうすると、
どこで話が飛んだか
何が前提になりすぎていたか
どの言葉が相手に伝わらなかったか
どこを補えば理解しやすくなるか
がかなりはっきり見えます。
そのズレを整理すること自体が、上級者にとって非常に良い練習になります。
これも結局は、意味のあるフリートークです。
自由に話すだけではなく、相手に伝わるように説明を整えていく。
その積み重ねが、専門的な場面でも使える日本語につながっていきます。
上級者レッスンがうまくいかない時のサイン
上級者レッスンがうまくいかない時、多くの場合こんなサインが出てきます。
- 話題選びに毎回迷う
- その場しのぎのフリートークになる
- 生徒の成長が見えにくい
- レッスン後に「今日は何をしたんだろう」と感じる
- 盛り上がるけれど継続にはつながりにくい
こういう時は、教え方以前に生徒のニーズが理解できていないことが多いです。
上級者レッスンは自由度が高い分、何となく進めようとするとぶれやすいんです。
だからこそ、見るポイントとレッスンの軸を決めておくことが大切です。
まとめ
日本語上級者レッスンで大切なのは、面接対策用の特別なネタや、ビジネス日本語専用の教材をたくさん持つことではありません。
土台になるのは、その人の目的に合わせてフリートークを設計する力です。
つまり、上級者レッスンの基本はフリートーク、ただし、雑談ではなく意味のあるフリートークです。
上級者はもう、自分で文法を学べます。
語彙も自分で増やしていけます。
その上で私たちに求められているのは、その人の知識や経験、考えを、日本語でより適切に表現できるように支えることです。
そして、この土台があると、面接、ビジネス日本語、文章添削、専門説明など、上級者向けのさまざまなレッスンに応用できます。
教材では、「考え方」だけではなく、ヒアリングの視点、質問の入れ方、フリートークを雑談で終わらせないための具体的な組み立て方を実例を豊富にご紹介しています。
上級者向けのレッスンをもっと具体的に作っていきたい方は、参考にしてみてください。














