今回は、オンライン日本語教師に役立つ本をご紹介しますね。
『世界の一流は「雑談」で何を話しているのか』という本です。
ビジネスパーソン向けの雑談本に見えるかもしれませんが、オンライン日本語教師の仕事にも非常に役立つ内容です。
相手を知ること、信頼関係を築くこと、相手に合わせて言葉を選ぶこと、表面的な会話ではなく、意味のある対話をすること。
そしてこの本を読んで、ああ、私がやってきたことってこれだったんだ。だから長期の生徒さんが続けてくれているんだと腹落ちしました。
私は常に、生徒とのスモールトークや雑談を会話意味のある会話にしようと心がけています。
生徒がどんな価値観を持っていて、何に関心があるのか、そしてどんな説明なら理解しやすいのか。
そういったことを知ることが、より良いレッスンにつながると思っています。
この本は、そうした感覚を言語化してくれる一冊でした。
Bona以下、この本の内容の中でオンライン日本語教師に役立つと思ったことをお話ししていきますね。
雑談は「その場しのぎ」ではない
この本では、日本人が考えがちな「雑談=世間話、無駄話」という見方が問い直されています。
そして雑談は目的を持ってするべきだ、と書かれています。
著者は、一流のビジネスパーソンは、雑談でただ場をつなぐために話すのではなく、相手との理解を深め、信頼関係を築き、意識や行動に変化を生むような会話をしている、ということです。
私はここにとても納得しました。
レッスンに置き換えると、ただ何となく会話を続けるのではなく、生徒の日本語上達につながり、その生徒の生活や仕事に役立つのか、そしてより深く相手を理解し、長く続く信頼関係につながるかという目的があるべきだと私は考えます。
無意味な会話は相手の時間を奪う
無意味な会話は、相手の時間を奪います。
しかも、それだけではなく、相手を知る可能性を失い、相手に「つまらない」と感じさせてしまいます。
レッスンであれば、次につながりません。
オンライン日本語教師は、継続していただいて初めて成り立つ仕事です。
雑談を大切にすることは、相手を大切にすること、つまり相手を尊重することです。
その場をなんとなくやり過ごすだけの会話では、長期的な信頼関係は築けません。
生徒に合わせた説明ができるのは、相手を知っているから
この本に書かれていた「話す相手に興味を持つこと」「その人に特化した話をすること」は、まさにオンラインレッスンでも同じです。
私は普段から、生徒の価値観や関心、考え方に興味を持っています。
どんな仕事をしていていて、どんなことに違和感を持つのか。
そしてどんな言い方だと理解しやすいのか。
こういったことを知ることで、レッスンをよりその人に合わせることができるからです。
たとえば同じ文法を説明するにしても、研究者の方と、ビジネスの現場で働いている方とでは、しっくり来る例や説明の角度が違います。
相手を知らなければ、説明はどうしても一般的で平坦なつまらないものになります。
フリートークだけでなく文法レッスンにも役立つ
この本の考え方は、フリートークレッスンだけに役立つものではありません。
たとえば文法レッスンでも、最初のアイスブレイクで信頼関係ができているかどうかで、その後の空気はかなり変わります。
少し話しやすくなっただけで、生徒は質問しやすくなり、わからないことを「わからない」と言いやすくなります。
そうなると、こちらもその生徒に合った説明がしやすくなりますよね。
雑談はレッスンそのものの質を上げる土台になるんです。
長く続く生徒は会話そのものにも価値を感じているのかもしれない
私の生徒さんは、ほとんどが1年以上継続して続けてくれています。
5年以上続いている方も少なくありません。
また、一度中断しても戻ってくる人も多いです。
もちろん、日本語の練習という目的はあります。
ただ、それだけではないのではないか、と私は感じています。
特に、上級以上の生徒さんは、すでにある程度の日本語力があります。
ですので単に文法を確認したり、会話練習をしたりするだけではなく、意見交換そのものに価値を感じてくださっている面もあるのではないかと思います。
例えば私は会話のレッスンで、ただ「どう思いますか」と聞くだけではなく、
「私はこうだと想像するのですが、実際はどうですか」
「こういう背景があるように見えるのですが、現場ではどうですか」といった形で、自分なりの仮説を添えて聞くことがあります。
そうすると、こちらが本当に興味を持っていることが伝わりやすくなりますし、会話も深くなります。
長く続く関係にはリベラルアーツが必要
社会や文化、価値観への理解がなければ、相手に合わせた対話はできません。
意味のない会話が続いても、お互いに時間がもったいないだけです。
私はこの本を読みながら、長く続く関係にはリベラルアーツ、(教養)が必要だと改めて感じました。
短期的なら、表面的に楽しい会話でも成立するかもしれません。
レッスンは盛り上がれば良い、という考え方もあると思います。
ですが、長期で続けるにはそれだけでは足りません。
教養がなければ、会話は表面的で浅くなります。
浅い会話は、つまらないので何度も続けられません。
オンライン日本語教師は、「日本語を教える人」であるだけでなく、「相手に合わせて対話できる人」であることも求められるのではないかと改めて感じました。
信頼関係を築くにはフラットさが大切
信頼関係を築くうえでは、できるだけ個人対個人としてフラットに接することが大切です。
先生と生徒という立場はあります。
ですが、そこで威厳を出しすぎたり、必要以上に上に立とうとしたりする、または逆になんでもいうことを聞いておべっかを使ったりすると、相手は話しにくくなります。
相手と同じ高さで話すことで相手は安心して話しやすくなります。
そして、話しやすくなることで、こちらもその人に合ったレッスンを組み立てやすくなります。
そして相手の小さな変化に気づいて、コンディションを見たり、共通点を見つけること。
そして自分の弱みも隠さず見せることも時には必要です。
質問には配慮が必要
相手に興味を持つことは大切ですが、それと無遠慮に踏み込むことは全く違います。
質問の内容には気をつける必要があります。
たとえば、セクシャリティーや健康問題に関することなど、非常に個人的な領域につながる話題は、特に慎重であるべきです。
相手を知ろうとすることと、境界線を尊重すること。
この両方があって初めて、良い雑談、良い対話になるのだと思います。
オンライン日本語教師に役立つ一冊でした
この本は一見するとビジネスパーソン向けの雑談本ですが、実際には、オンライン日本語教師にも非常に役立つ内容です。
フリートークレッスンで相手理解を深めたい方、文法レッスンのアイスブレイクを大切にしたい方、生徒に合わせた説明をしたい方、長く続く信頼関係を築きたい方には読む価値があると思います。
雑談とは、その場をしのぐためのものではなく、関係を築くためのもの。
相手を理解しようとする姿勢そのものが、レッスンの質につながっていく。
私はこの本を読んで、そのことを改めて確認しました。
よかったら読んでみてくださいね。(Kindle Unlimitedでも読めます)










