私はこれまで6000回以上フリートークレッスンをしてきました。その中で分かったのは、会話が続くかどうかは「話題そのもの」ではなく設計で決まるということです。
だからこそフリートークレッスンは、オンライン日本語教師にとって最も難易度の高いレッスン形式の一つです。
新人日本語教師 ゆりかさん盛り上がる話題が見つからない…



会話が続かない…



生徒が満足しているのか分からない…
特に経験が浅い頃は、「何を話せばいいのか分からない」と悩む方も多いのではないでしょうか。
私自身、オンライン日本語レッスンを始めたばかりの頃は、フリートークで何を話せばいいのか分からず、失敗を繰り返していました。
当時は、実際のレッスン経験に基づいた「そのまま使えるフリートークのテーマ」や「会話を広げるための考え方」をまとめた情報がほとんどなく、手探りでレッスンを続けていたのを覚えています。
その後、オンライン日本語レッスンを10年間続け、フリートークで大切なのは、「話題の数」ではなく、生徒の思考を引き出し、会話を構造的に広げていくことが重要だ、と実感しています。
今回は、私BONAがこれまでのフリートークレッスンで実際に使い、汎用性が高いと感じてきたテーマをご紹介します。
ここで紹介するテーマは、それ単体で使うというよりも、そこから派生させながら会話を深めていくための土台となるものです。
トピックだけでなく、フリートークレッスンの進め方や考え方を体系的に学びたい方には、「フリートークレッスンの教科書」で、私が実際のレッスンやオンライン日本語教師からの相談をもとにフリートークレッスンの進め方、考え方、構造をお伝えしています。


運営者 BONA
オンライン日本語教師として10年以上。
レッスン数は10,000回以上。
生徒のリピート率は90%以上。
長期継続の生徒が多く、
2年以上続けてくださる方が過半数です。5年以上の生徒さんも多数
また、オンライン日本語教師の育成にも携わり、
月収30万円〜80万円を達成した卒業生も数多くいます。
- 日本語教師歴:15年
- 日本語教育能力検定試験 合格
- オンライン日本語教師:10年以上
- リピート率:90%以上
- オンライン日本語教師サポート歴5年以上
感情を煽るようなポジティブなだけの情報ではなく、
現場で積み重ねてきた実践知と、再現性のある本質的な知識をお伝えしています。
ポイント:とにかく生徒に話してもらうようにする
フリートークレッスンでは、教師が話すのではなく、生徒が話す時間をどう作るかが最も重要です。
質問を通して生徒の興味関心を引き出し、実生活で使う日本語につなげていきます。
ただ話すだけで終わらせず、生徒のレベルに応じて最低限の訂正と簡単な振り返りを入れることで、レッスンの満足度と定着率が大きく変わります。




初級:まず基礎を固める


初級(N4以下)では、フリートークは基本的におすすめしません。
理解できない会話が続くと、
ついていけなかったり、自信を無くしてしまう原因になります。
初級段階では、
- 基礎文法
- 簡単なクイズや作文
- 文法を使った短い会話練習(ロールプレイ)
このように、少しだけ背伸びできる設計が最も効果的。
現実的に考えて限られたレッスン時間の中で「話すだけで自然に上達する」って無理ですよね。
そのことをしっかりと説明し、意図的に設計された学習が必要です。
中級 具体的な内容でわかりやすく
中級レベルでは、文法知識、語彙がまだ足りませんので深い議論を無理に行う必要はありません。
まずは答えやすい質問を多く投げかけ、発話量を増やすことが大切です。
5W1Hを使って質問し、生徒の答えには必ず反応を示しながら会話を広げていきます。
「そうですか」で終わらせず、相槌・言い換え・追加質問を挟むことで、生徒は話しやすくなります。(相槌のしすぎには気をつけてください。生徒が話すタイミングを逃します)
また、考えている時間は急かさず待つこと。
沈黙も学習の一部(思考の過程)だと捉えると「何か話さなきゃ」という焦りが減ります。
上級 踏み込んだ知的な会話


上級:踏み込んだ知的な会話
上級フリートークでは、中級のような答えやすい質問ではなく、「なぜそう思うのか」「私たちに何ができるのか」といった答えの決まっていない問いを投げかけることが重要になります。
上級者にとって、日常的な話題だけのフリートークは物足りません。
成熟した大人である生徒が、実生活で実際に考え、話しているテーマを扱う必要があります。
また、生徒の興味関心をよく把握し、生徒自身の経験や価値観に結びつく 「じぶんごと」 の話題にしなければ、実生活で使える語彙や表現は身につきません。
上級生徒が求めているのは、
踏み込んだ知的な会話の中で、自分の意見を日本語で表現できるようになることです。
そのためには、会話を表面的に終わらせず、掘り下げることで知的好奇心を刺激することが大切です。
社会問題・政治・時事問題などを扱う場合も多いため、日本語教師自身にも、ある程度の知識と視点が求められます。
日頃からニュースや社会の動きをチェックしておくと、上級フリートークの質が安定します。


実例:フリートークのトピック


仕事
生徒が実際の場面で使えるような会話に持っていくことが大切です。
入社試験を控えているなら面接に役立つような内容(過去のキャリアや苦労したことなど)、
現在日本人相手に仕事をしている人なら、会社の概要や扱っている商品などのトピックを選ぶことによりより実践的な練習ができます。
今の仕事内容を具体的に説明する
仕事で大変だったこと/乗り越えた経験
今後のキャリアプラン(短期・長期)
日本で働いて感じた違和感・良さ
「仕事」を軸にすることで、語彙・論理構成・敬語まで自然に練習できるようになります。
ビジネス日本語を教え方を詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
社会問題、環境問題


上級者には「意見を持つ練習」が不可欠です。
原因・影響・解決策を考える問いが、会話を深めます。
- なぜ問題が起きているか
- 自国と日本ではどう違うか
- 個人でできることはなにか
上記の質問でより会話を深めることができます。
正解のないテーマこそ、日本語で考え、説明する力が鍛えられます。
情報通信・AI・SNS


現代の学習者にとって非常に身近なテーマ。抽象的な話題でも、実体験に結びつけるのがコツです。
AIは仕事にどんな影響を与えているか
SNSのメリット・デメリット
IT業界の今後
変化が激しい分野ですので、日頃からニュースをチェックしておきましょう。
政治、国際問題(慎重に)
信頼関係ができてから扱うテーマ。
最初のレッスンでは避け、関係性ができてから取り上げます。
「話せるか」より「扱ってよいタイミングを判断できるか」が教師の力量です。
日本人の私たちがびっくりするほど、外国人の学習者たちは政治について興味、意見を持っています。国内ではタブーの内容も外国人である教師には話しやすい、と言って色々と話してくれることも多いです。
とはいえセンシティブなトピックですので様子をみながら話を進めると良いです。
最初のレッスンでは絶対にやめたほうがいいトピックですが、心を許してくれるようになれば割と盛り上がるトピックです。
金融・経済/時事問題 上級向け


金融・経済/時事問題
上級レベルの生徒やビジネスパーソンとのフリートークでは、
経済・金融・時事問題は最も実践的で需要の高いテーマです。
ニュースや社会情勢をもとに、
- なぜ起きたのか
- どう影響しているのか
- 今後どうなると思うか
を日本語で整理し、論理的に意見を述べる練習をします。
例
- 業界の今後(IT・半導体・サービスなど)
- 投資・仮想通貨・不動産のメリット/デメリット
- 円安・物価高・格差社会
- コロナ前後で変わった社会や経済
- 戦争・環境問題・脱炭素の影響
- 日本経済は今後どうなると思うか
特定のニュースを取り上げ、
「なぜ起きたか」「対策はあるか」「個人にできることは何か」
といった視点で掘り下げると、会話が深まりやすくなります。
個人の性格、趣味等


個人の性格・趣味・ライフスタイル
上級レベルでは、単なる出来事の説明だけでなく、
「そこから何を学んだか」「どう考えているか」を話せるテーマが効果的です。
生徒の話をよく聞き、広げていくことがポイントになります。
趣味の醍醐味・上達のプロセス
旅行で得た気づき
自分の性格・強み・弱みの分析
ストレス対処法・健康習慣
料理・ペットとの生活
映画・ドラマ・本の感想と考察
特に作品の感想では、登場人物の行動をどう思う?自分ならどうする?といった問いが、自然に深い会話につながります。
異文化理解
異文化理解は、上級フリートークで非常に盛り上がりやすいテーマです。
日本文化と生徒の国を比較しながら、価値観や行動の背景を言語化していきます。
日本文化(本音と建前、恥の文化、村社会)
外国で驚いたこと・逆カルチャーショック
文化摩擦が起きる理由と解決策
自国・日本・他国の良い点/課題
異文化理解で起きたトラブルと学び
教師側から自分の異文化体験を共有すると生徒も「ああ、私もこんなことがありました」などと自然に深い対話になります。
フリートークレッスン+明確なゴールのあるレッスンがおすすめ
フリートークレッスンは明確なゴールが設定しにくい
→自分の日本語上達の進歩をはっきり感じにくい
→数回レッスンを受けてやめてしまうことが多い
実際、フリートークだけを続けると
「楽しいけれど、身についている感じがしない」
という理由で離脱する生徒は少なくありません。
そのため私は、フリートークと、明確なゴールのあるレッスンを組み合わせることをおすすめしています。
この二つを並行することで
並行することで、生徒は「確実に前進している」という実感を持ちやすくなります。
例えば1時間のレッスンであれば30分フリートーク、30分は教科書を使った勉強というように確実に一歩ずつ進んでいる実感を持ってもらえるようにします。
JLPTや文法のおすすめの教科書はこちらの記事にまとめてあります。よかったらぜひ参考になさってくださいね。


番外編 AIを使用
ここまで多くのフリートークテーマをご紹介してきましたが、最近はAIを使ってトピック案を出すことも簡単にできます。
実際、AIは短時間で多くのアイデアを提示してくれるため、発想のきっかけとしてはとても便利で私も実際によく使っています。
ただし、AIが出したトピックをそのまま使えばよい、というわけではありません。
- 生徒のレベルに合っているか
- その生徒の目的や背景に合っているか
- 今のレッスンの流れに自然につながるか
この判断は、実際にレッスンを積み重ねてきた教師にしかできない部分です。
こちらの記事でご紹介してきた考え方や視点を土台にしながら、AIを補助的に使うことで、
フリートークレッスンの幅はさらに広がります。


まとめ
以上、よく私が使うフリートークのトピックをご紹介しました。
フリートークに「正解」はありません。同じテーマでも、生徒や状況によって会話の流れは毎回変わります。
今回ご紹介したテーマも、そのまま使うだけでなく、生徒の反応を見ながら広げたり、別の話題につなげたりすることで、自然な会話として深まっていきます。
「今日は何を話そうか」と迷ったとき、レッスンの入り口として、ぜひ活用してみてください。
トピックはあるけれど、うまく進められないと感じたら
テーマは用意できても、
- 会話が広がらない
- 生徒の反応が薄い
- 次のレッスンにつながらない
と感じることもあると思います。
そうした場合は、話題そのものではなく、レッスンの組み立て方や視点に原因があることが多いです。
フリートークレッスンの進め方を体系的に整理したものとして、
「フリートークの教科書」という教材もご用意しています。
実際のレッスンで私が行ってきた考え方や判断の基準を、一つひとつ詳細に言語化した内容です。
必要だと感じた方は、参考としてご覧ください。
\ フリートークレッスンを構造的に理解したい方へ /












