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予約が埋まっている人ほど、フェードアウトする理由

予約表は埋まっている。
新規の問い合わせも途切れない。

数字だけを並べれば、うまくいっている教師にしか見えません。
本人も、しばらくはそう思っています。

ですがその人が、一年後にいなくなってしまうことがあります。
募集を止め、更新が減り、いつのまにか見かけなくなります。

このフェードアウトは、実はうまくいっているように見えた人のほうに起こります。

とくに、始めて一年から一年半くらいの人によく見られます。

目次

生徒が入り始めた時の高揚感

この時期には、独特の高揚感があるんです。
新しい仕事のために資料を作っている自分が、少し誇らしい。
カフェや旅行や移動の合間に、空港でノートパソコンを広げたくもなる。
働いている、という手応えそのものが楽しい時期です。(ハネムーン時期と言ってもいいですね。)

問題は、この高揚感が今後の生産に結びついているかどうか。
仕事をしている感覚と、選ばれ続ける実力は、同じではありません。

ハネムーンはいつか終わります。
そのとき、手元に何が残っているかが分かれるのが、ちょうど一年半あたりです。

ひとつ、考えてみましょう。
いまレッスンが埋まっているとして、その理由を説明できますか。

最初に選ばれる理由は、ひとつとは限りません。
単純にレッスンの値段が安い、写真の雰囲気が話しやすそうという理由もあります。
またプロフィールをしっかりみてレッスンの中身に価値を感じて来た人もいます。
全部が同じ「予約」という結果になるので、予約表の上では区別がつきません

ここに落とし穴があるんです。
レッスンの中身以外のところで収支が成立してしまう(レッスンが入る)と、レッスンの中身の弱さは観測できない。
タイムスロットが埋まっているという事実がうまくいっているように見えるからです。

価格

安く出せば、レッスンは埋まります。
ただ、安さで来た生徒は値段を重要視しています。
リピートしない理由も、はっきりとは見えません。
それでもとりあえず新規は来るので、最初は問題として立ち上がってこないんです。

ここで多くの人が考えるのは、どう値上げするか、です。
単価が低いことが原因なら、単価を上げれば直る。理屈としては正しいですよね。

ただ、ここで問題なのが値上げしただけでレッスンの中身は同じということです。
安さで来ていた人が消えて、残った人にとってレッスンの価値は変わらないまま、値段だけが上がる。

これでは単純に生徒が減ります。

そこで初めて、自分が何によって選ばれていたのかを知ることになってしまいます。

プロフィール写真

(実際の容姿の話ではありません。プロフィール写真や動画の雰囲気の話です。)

明るさ、親しみやすさ、話しやすさ。
そういう雰囲気をがある写真は、その雰囲気に惹かれる生徒を連れてきます。
最初に予約する理由はこの人と話したい、という期待です。

この人と話したら楽しそう。
この人はしっかりしていそう。

そんなふうに生徒は直観的に判断していることも少なくありません。

そこで期待とレッスンの中身がずれていれば、続きません。

でも、また他の新規は来ます。だから、何がずれていて続かないのかに気づけないんです。

やりがい

これがいちばん見えにくいと思います。

値上げを申し訳なく感じてしまう人がいます。
特に日本語学校で教えていた人に、よく見られます。
給与は学校が決めています。授業準備にどれだけ時間をかけても、そこに対価は紐づきません。
むしろ、対価を考えずに準備できることが、教師としての誠実さの証明になっているかも知れません。

その人がフリーランスになると、値上げが申し訳ないように感じられます。

そして、やりがいが報酬として機能してしまうと、金銭的な報酬が足りていなくても、収支が合ってしまう。赤字なのに、やりがいがあるので帳尻が合う。
生活も体力も限界に達するまで、誰も異常に気づけません。

三つに共通していること

低価格も、写真の雰囲気も、やりがいも、やっていることは同じです。
レッスンの中身以外のところで、収支を成立させている。
成立しているあいだ、本人には何の問題も観測されません。

新規が来ているうちは、リピートしない理由は見えづらいんです。

長く気づけない理由

フリーランスという状況

会社にいれば、基準は教わらなくても身につきます。
基準というのは、大量の他人の事例が自分のなかに沈殿したものです。

隣の席の先輩が失敗するのを見たり、前任者がなぜ辞めたかを聞くことができます。
何が良くて何がだめなのか誰か他教えてくれます。
また環境を共有しているので、何年かいれば「これはやめておいたほうがいい」という感覚が入ってきます。

オンラインのフリーランス教師には基準がありません。
手元にあるのは、自分の一例だけです。
何年やっても、自分の経験が標準なのか例外なのかが分からない。


うまくいかなかった人が、はじめから数に入っていない。
だから比べる相手を、間違えてしまいます。

オンライン日本語教師に関する事例が偏っている

残りの半分は、外から見える事例が偏っていることです。

発信されるのは、うまくいった話ばかりです。
うまくいかなかった人は、静かにやめます。

つまり、流通している事例は成功例だけで組み立てられています。
その中で自分の基準を作ろうとすれば、「みんなうまくいっているのに、自分だけできていない」という結論にしかたどり着けません。

「こうしたら伸びた」は、自分の経験から言えます。
「こうすると、こうしないと、こうなる可能性があります」ということは、うまくいった過程だけでなく、うまくいかなかった過程まで見た人にしか言えません。

まず今できること

では、いま自分にできることは何でしょうか。
まず、自分が何によって選ばれているのかを点検、分析することです。

予約表を開いて、直近の生徒が何を理由に来たのかを、一人ずつ思い出してみてください。
値段なのか、雰囲気なのか、中身なのか。答えられない生徒が何人いるかを数えてみます。
またリピートしてくれている生徒はなぜ続けてくれるのかを紐解いてみます。
それだけで、いまの状態方向性が見えてきます。

まず基本的な文法の知識を、体系として説明できる状態になっているか。
レッスンの進め方に自分なりのスタイルがあるか。
自分の得意と不得意を分かったうえで組み立てられているか。

このどれかが曖昧なまま埋まっているなら、今はハネムーン時期なのかも知れません。
埋まっているのに、この先も続けられる気がしないという状態にいるなら、原因は量ではないと思います。

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