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上級を教えるのは難しい? 生徒と長く学び続けるために必要なこと

日本語学習者

前の先生に「もう上級は教えられない」と言われたので、新しい先生を探しています

そう言って、私のところに来る生徒さんがよくいます。

その時、いつも困惑します。

え?どうして?せっかく長く続けてくれた生徒さんと上級を教えられないことを理由にお別れするのは悲しい。一緒に成長すればいいのに、と。

もちろん上級を教える力を最初からすべて身につけるのは難しいと思います。
それよりも目の前の生徒に満足してもらえるレッスンを考え、少しずつ準備することの積み重ねが、教師自身の成長にもつながります。

今回は、生徒に長く学び続けてもらうために、上級を教える力をどう育てていくか、私の経験をもとにお話しします。

目次

長く学んでもらう=教師も成長していく

長期でレッスンを続けてもらうということは、その間に生徒も成長していくということです。
中級から上級へ進んでいけば、レッスンで必要なことも変わります。

教師が対応できる範囲を広げなければ、レッスンの継続もそこで途切れてしまうことがあります。

生徒と向き合い、その変化に合わせて準備をしていけば、教師もそのレベルに合ったレッスンができるようになると思います。
むしろ、これは教師にとっても成長のチャンスではないでしょうか。

ターゲットを設定するのと、自分のできることを制限するのは、全く別のことです。

上級では「誰に、何を伝えたいか」を考える

初中級では、語彙や文法など、日本語そのものを身につけることが学習の中心になります。

しかし上級になると、身につけた日本語を使って、自分の言いたいことをどう伝えるかに重点が移っていきます。

そこで必要になるのが、生徒の背景や、実際にどんな相手と話すのかを理解することです。

長くレッスンを続けていれば、その人の学校生活や仕事、好きなこと、人間関係についても、友人のようによく知っている部分があるのではないでしょうか。その理解を、レッスンに生かせます。

例えば、中学生の頃から学び続けた生徒が、日本語上級の高校生になったとします。その生徒が話したい相手は、同世代の人かもしれません。

一方、日本への出張が多い45歳の会社員なら、仕事の関係者と話す機会が多いでしょう。

同じ上級者でも、話す相手との関係や場面が違えば、自然な話し方も、使う語彙や表現も変わります。
そこを汲み取り、生徒が伝えたいことを、その相手に合った言葉で伝えられるようにすること。
それが、上級のレッスンで教師に求められることです。

答えられない質問が来る不安には、どう備えるか

上級を教えるのが怖い理由の一つは、高度な質問をされて答えられないかもしれない、という不安ではないでしょうか。

そのために、日頃から準備できることはあります。
例えば、N1の文法をしっかり理解しておくことや似ている語彙や表現について、何が違い、どんな場面で使うのかを説明できるようにしておくことです。

ただし、知識があることと、生徒に聞かれた瞬間に分かりやすく説明できることは、同じではありません。生徒の質問は、こちらが準備した順番どおりには来ないからです。

その場で必要な知識を取り出し、相手に伝わる形で説明する力は、実際のレッスンを通して身につけていくものだと思います。

できる準備として、まずはインプットしておく。
そして、アウトプットする力は実践を通して育てていく。すべての質問に答えられる自信がつくまで待つより、その両方を少しずつ積み重ねていくことが大切です。

また、確信が持てない時は、その場で無理に答えないで、確認してから伝えることも信頼を損なわないために大切です。

生徒のペースに合わせて、少し先を準備する

長く教えている生徒なら、その人がこれまで何を学び、どんなことを話せるようになったかを知っています。
その理解をもとに、次に話したいことや使いたい場面を考えて準備します。

また、上級への教え方やアプローチを、前もって知っておくことも役に立ちます。生徒の少し先を見据えることで、教師自身も対応できる範囲を広げていけます。

一人にうまくいった方法が、ほかの生徒にも合うとは限らない

とはいえ、一人の上級者にうまくいったアプローチを、ほかの生徒にもそのまま使えるわけではないのが難しいところです。

一つの教え方を覚えて終わり、ではないんです。

レッスン積み重ねが、一人一人の生徒に柔軟に対応できる範囲を広げていくのだと私は考えています。

長く続くレッスンのために、私が学び続けていること

上級になり、日本語を学ぶこと自体が知的な刺激となっている生徒さんとは、その先も長く、良い関係が続いていきます。

実際に私の生徒さんたちは、数年単位で学び続けている方が多く、今ではほとんどが上級です。

2026年10月中旬時点で、来月の予約済みレッスンは、約8割が2年以上学び続けている生徒さんとのレッスンです。また、全体の約4分の1は、5年以上の生徒さんとのレッスンです。

長く続けてもらうには、生徒が毎回レッスンを受けるたびに何かを持ち帰ることができ、レッスンの時間自体にも満足できることが必要だと考えています。

そのために私は、日本語教育だけでなく、生徒さんが好きなことや、関わっている業界についても、可能な限りニュースを読んだり、AIを使って情報収集をしたりしています。また、生徒さんにおすすめされた本や映画、ドラマにも目を通すようにしています。

10年以上この仕事を続けてきて、こうして学び続けることが、長く続けるために本当に必要なことだと確信しています。

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